北海道電力では2025年7月から空室時の通電を有料化することを発表しました。これに向けてブレーカー廃止、そしてスマートメーターへ完全移行することになります。
今までは空室時の内覧と内装工事などの一時的に電気が必要な場合、ブレーカーさえ上げれば通電できたものが、空室期間中は家主が電気の契約をしなければ使えなくなります。
また、その間、電気を使わなくても基本料金が発生しオーナー様の手間と負担が増えることになります。
スマートメーターは、電力消費量を計測する従来の電力メーターに通信機能を加えた次世代型の装置です。
電力使用状況を詳細かつリアルタイムで計測し、そのデータを電力会社に自動的に送信する機能を備えています。スマートメーターは、省エネルギーの促進や電力供給の効率化のために世界中で導入が進んでいます。

スマートメーターには以下のような特徴があります。
・遠隔検針 従来の電力メーターは検針員が現地で検針をする必要がありましたが、スマートメーターはインターネットや専用の通信ネットワークを通じて電力使用量を自動送信します。これにより、検針の手間を省くことが可能になります。人材不足が問題となっている昨今、これにより電力会社は大きく人員を削減することができます。
・リアルタイムデータ提供 利用者は電力消費データをリアルタイム、またはそれに近い時間帯で確認できます。これにより、電力使用状況を把握し、無駄な消費を減らすことができます。
・電流制限機能 アンペア数を変更したい場合、これまでは電力会社が現地へ行きアンペア変更する必要がありましたが、遠隔でアンペア数の変更ができるため原則として工事の必要が無くなります。
・停電対応の効率化 停電や電力供給に関する情報をリアルタイムで電力会社に送信します。これにより、停電エリアを迅速に特定し、復旧作業を効率化することができます。
・時間帯別料金プラン対応 時間帯ごとの電力使用量を正確に測定できるため、電力会社は利用者に対し時間帯別料金プランを提供することが可能になりました。これにより、新電力会社が様々なプランを企画し提供する事が出来るようになります。
スマートメーターの今後
経済産業省が2021年9月に発表したスマートメーターに関するデータでは、2021年3月時点でスマートメーターを全国約85%設置済みであると公表されています。北海道電力では一部取り換え困難な場所を除き2024年5月に全戸導入済みとしています。
スマートメーターは電気だけに限りません。単なる計測装置にとどまらず、エネルギー管理のプラットフォームとしての役割を果たすようになっています。今後はガスなども、検針業務をデジタル化すべく、スマートメータ―化が進んでいきます。
空室通電サービスの台頭
スマートメーター化により、冒頭に触れた通り賃貸アパートマンションでは電力の契約をしていないと通電されなくなります。よって、退去した時点でオーナー様が電気の契約をしなければ内装、清掃、内覧時に電気が使えないという状況が発生します。こうなると、入退去の時に契約解約する手間や、その期間の電気代の負担が増えるという事になります。
不動産管理会社で管理している場合、その業務は膨大となります。弊社では年間1000室前後の入居と退去が発生しており、都度電力会社に申込と解約をする手続きや、空室期間の電気料は膨大なものになると予想されます。
そこで、空室時の電気契約をシステム上で管理を行ったり、電気料金を肩代わりしてくれるサービスも登場しています。
仕組みとしては、システム上に管理している物件の部屋を登録し、WEB上で契約・解約の処理を行います。また、空室時の電気代はこのシステムを提供する会社が負担するため、管理会社やオーナー様の負担は有りません。
無料となった電気代は、このシステム会社が賃貸の申込をした方へ新電力やガス、インターネットなどのライフラインの斡旋をする代わりにシステム料や空室期間中の費用を負担するという内容が一般的です。

一方で、この仕組みは自主管理を行っているオーナー様は利用ができません。そのため、自主管理をされているオーナー様の物件は空室になった時点で契約、入居が決まったら解約して、空室中の電気料金を自ら支払う必要があります。
自主管理は管理費を抑えることが出来る一方で、本サービスや保証会社(一部)など、自主管理では利用出来ないサービスが増えていますので、これを機に管理会社導入を検討してみてはいかがでしょうか。