パートナーシップ排雪制度について

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札幌市の除雪

 北海道に住む上で避けて通れない問題は冬季期間中の除排雪についてです。夏の間は3車線の道路でも、冬になれば雪が高く積まれ車1車線になったり、2車線道路では1車線程の幅になるため、対向車の通行を譲り合う光景は道民にとっては冬の日常となっています。今回のかわら版では、道外に住む方にもイメージしやすいように札幌市の除排雪についてお伝えします。

 札幌市では1日で10cm以上の降雪や交通量が多く圧雪による交通障害が発生すると予想される場合に、交通量が少ない深夜から、通勤・通学が始まる時間までの間に除排雪が行われます。

 札幌市が行う除雪作業の対象は下図の主要幹線道路(赤色)、幹線道路(水色)、補助幹線道路(灰色)のような道路幅員8m以上の幹線道路となります。除排雪以外にも歩道の除雪や凍結対策なども実施します。

 また、公共施設などの交通量が多い道路もその対象となります。

 一方で、生活道路は札幌市が行う除排雪の対象外となるため、町内会などの自治体がパートナーシップ排雪制度を利用して除排雪を行う事になっています。

パートナーシップ排雪制度

 生活道路の幅員が10m以上は札幌市が費用負担しますが、10m未満の場合は1992年に開始したパートナーシップ排雪制度を利用して町内会からの申請のうえ、市と町内会が費用を双方負担して年に1回、除排雪をすることとなります。

 排雪作業は下記の2つの方法から選択。標準断面作業は1キロ当たりの地域の支払い額が516,400円に対し抑制断面型は361,500円と三割ほどより安くなります。ただし、抑制断面型は道路にある一定量の雪が道路に残されるため車のすれ違いが難しくなります。

2025年冬に新制度の実証実験開始

 生活道路の排雪について、昨年11月に札幌市は将来的に市が全額を負担する案を示しました。

 この実証実験を行う理由として、排雪業者の減少や、人件費高騰、異常気象などにより、札幌市の雪害対策予算が年々増加していることが挙げられます。そこで、少ない人員で効率的に除排雪を行うために今回の試験的除雪を行う事になりました。

 また、町内会への参加率、町内会費の徴収率の低下により、町内会でパートナーシップ除雪の費用負担が難しくなってきたことも理由に挙げられます。

 札幌市では2025年1月上旬から3月中旬、市が費用を全額負担することを想定した生活道路の除雪手法の実証実験を24kmの区間で実施します。除雪する幅を6mから4.5mに狭くして運ぶ雪を減らし、作業人員を2割削減したうえで除雪期間を35日から50日に延ばすことで、事業費はこれまで市が除雪してきた35億円と同じ程度にする考えです。

 現行のパートナーシップ排雪が利用されているのは、札幌市の生活道路3800kmのうち、7割の2600kmとなっていますが、この新制度が実施されると今までパートナーシップ除雪が入っていなかった道路にも除排雪が入ることになります。

 今までパートナーシップ除雪が入らなかった地域にお住まいの方にとっては良い事になりますが、従来実施していた地域の方にとっては除雪する幅が狭くなるため、どちらが良いのか市と有識者などで協議されています。

不動産大家が気にすべき点

 生活に関わる道の除排雪は賃貸アパートマンションに住む方には大きな問題です。当社の入居者様からのご連絡で冬期間の内三分の一は雪に関する苦情です。

 道民は雪に慣れているとはいえ、様々なトラブルが発生しています。

 年々、異常気象による大雪が増えており、帯広では今年2月に24時間で124cmの記録的な大雪が発生。交通機関などが数日間麻痺するといったこともあり、今後札幌でも起きないという保証は有りません。

 道路幅が6m未満の場合、北海道では車1台がやっと出入りできるぐらいに雪で道が狭くなり、様々なトラブルが発生する可能性があります。また、建物側にロードヒーティングが入っている物件で、前面道路に除排雪が入らない場合だと敷地と道路に大きな雪の段差が発生し、これも苦情の一因となります。 札幌市の不動産を買う前に、その不動産が面している道路の幅員がどれくらいあるのか、またその道路が札幌市の除排雪の対象なのか考慮する事も、判断材料のひとつになると思います。