札幌オーナーズ株式会社は2024年(令和6年)3月3日に設立30周年を迎えます。札幌オーナーズに新卒就職した筆者がこの節目に弊社社長 森 賢一 に札幌オーナーズ設立からこれまでの活動と胸中に秘めた思いを取材した内容を会話形式で執筆しました。
札幌オーナーズ30周年 森社長の考えとは?
森社長:私が札幌オーナーズを立ち上げて今年で30年を迎えます。30年続く企業は4000社に1社程度しかないと言われています。起業前は札幌の現在でも管理棟数No1の会社に勤めていました。
インタビュアー:札幌オーナーズが30年続けてこられた秘訣はなんでしょうか?
森社長:会社というのは利益を追求するという事が重要ですが、私は「人の為に生きる」という事を信念としてやってきたという事が継続できた理由だと思っています。
インタビュアー:具体的にどういった事でしょうか?
森社長:随分昔の話ですが、私が中学生時代名寄に住んでいまして、年末に商店街で買い物をすると福引が出来るイベントがあり、福引券をもらってくじを引いたところ、特賞の10万円が当たったんです。
普通、自分で使う事をまず先に考えると思いますが、私は違いました。まず、1万円ずつ母と祖母にお小遣いとして渡し、2万円は母の経営する飲食店の従業員さんにお寿司の差し入れをしました。それでも6万円ありましたが、中学生にとって6万円はかなりの大金です。自分で6万円を使うには心情的にどうかと思い、色々考えて名寄市に3万円を寄付し、残りの3万円は自分で使う事にしました。
インタビュアー:中学生で寄付という発想はあまりないですね!
森社長:はい、本当はハズレのキャラメルが欲しくて福引に行っただけなんです。(笑)
結局、寄付したことが新聞に載ることになりましたが、本心としては周囲に褒めてもらうために寄付したわけではなかったので、正直カッコ悪いと思いました。
私の信条としては親の育て方のおかげで「心が貧しくなかった」と当時を振り返って思います。
インタビュアー:心が貧しくないとはどういう事でしょうか?
森社長:他人に分け与える心の余裕が当時からあったと思います。寄付は自己満足です。ですが積み重ねることで自己満足から信頼へ変わると思います。
阪神淡路の震災、東日本大震災や国外の災害時に、会社にお金が無くても出来る限り寄付をしていましたし、現在は児童養護施設、札幌の子ども食堂、障がい者施設などへ、会社から毎月合わせて18万円の寄付を7年間続けています。これらは、先ほどお話した中学生時代の経験がベースとなっていると思います。
インタビュアー:そういった信念は仕事にどう生かされていますか?
森社長:商売っていうのは当事者双方が儲かる事は少ないと思います。どちらかが得をするという事は、もう片方が損をするという事です。自分が儲かる事ばかりを考えては、相手は損をし続けますから「いい気分」にはならないですよね。
なので、私の商売の仕方は「損して得取れ」です。
自分の利益を優先すると儲かる代わりに、その先の信頼は築きにくいですよね。ですが、自分が損をして相手の利益を優先させることで、その時は損をしますが将来的にはお客様との今後の関係性をより強固なものに出来ます。
その具体的な話として、以前、債務整理のための利回りが良い収益物件の売却案件がありました。自社で購入して転売をすれば短期的にかなり大きな利益を生みましたが、私はお得意先の投資家さんや地主さんにその物件を紹介して購入してもらいました。
結果、その物件はAさんからBさん、BさんからCさんと何回も売買仲介する度に仲介手数料をいただく事になり、最後は弊社で買い取りました。
各所有者さんには安定した家賃収入と売却益を与え、中にはその収益で子供の大学費用が工面できて大変助かったとのお声もいただきました。私の方は短期的な転売利益よりも仲介手数料など多くの収入となりました。これが、「損して得取れ」です。
インタビュアー:「心の豊かさ」「損して得取れ」など、相手の事を優先する仕事が会社の基盤という事ですね。
森社長:ただ、それだけでは仕事としては不十分で「負けない事」が重要です。言い換えると「他人がやらないことをする」です。
皆がやっている事を同じくやっていても、結局その他大勢のひとつになるだけです。ライバルだらけの中で勝とうと思っても難しいので、他の人がやらない事をやっていくことで、評価も自ずと上がっていくと思います。
インタビュアー:札幌オーナーズが他と違う事をするというと、具体的にどんなことをしているのでしょうか?
森社長:創業間もない頃は、売買仲介や賃貸仲介などを中心に事業展開をしていましたが、既にライバルが多い状況でしたので、大変苦労をしました。創業からしばらくして、20年以上前の当時、賃貸管理は売買仲介や賃貸仲介よりも格下という風潮があり、まだまだ力をいれて賃貸管理をしている管理会社が少なかったので、勝負するなら賃貸管理で行こうと賃貸管理を中心に事業転換をすることにしました。
ですが、賃貸管理費だけでは正直儲かりません。また、巡回清掃なども外注している会社が多いですが、弊社はいまだに自社のパートさんが専属で巡回と清掃を行っているので人件費も外注よりかかっています。
しかしそれでも自社で巡回・清掃をすることにより、物件に愛情や興味、責任を持って、異常や変わった事がないか、より良い物件にするための提案が外注よりも出来るという事にあります。
当たり前を当たり前にやるということを、常々、巡回の方にはお願いをしています。
結果として、賃貸管理を行うことで内装工事や外壁工事、物件の売買案件も相当数増え、安定した会社を作ることが出来ました。
インタビュアー:最後に30周年を迎えるにあたり一言お願いします。
森社長:オーナー様、ご入居者様、お取引先、協力会社など、皆様のおかげで創業30年を迎えられる事を心よりお礼申し上げます。まだまだやる事はいっぱいあるので、現状に満足せず邁進していきたいと思います。