今回は弊社社長 森 賢一 の不動産業界での軌跡を伺いました。
第四部は完済編を書いていきます。
インタビュアー:売上が順調に伸びるということは借金もあっという間に返済できたのでしょうか?
森社長:結果的に全て返済するまでに10年はかかりました。ただ返すだけなら単純なんですが金利が重くのしかかりましたね。正確な数字は覚えてないですが、当時の金利は8.3%程でした。
インタビュアー:現在は住宅を購入するとしても年1%前後ですから、いかに当時の金利が高いのかを認識できました。仮に1億円の借金があるとして金利が8.3%だとすると毎年830万円の金利代が上乗せされると考えるとどう返済すればいいか困りますね。
森社長:その金利の高さがあるせいで毎月返済しても返済しても元金が全く減らなかったんです。この頃は住宅金融専門会社問題というのが注目されていて不良債権が大量に発生していたんです。それを処理する為に作られたのが整理回収銀行といって、住宅専門貸付会社の不良債権を買い取って回収・処分が目的でした。私の借金もその整理回収銀行に買い取られました。
私はずっと高い金利をどうにかして欲しいと考えていて、銀行に度々下げて欲しいと言っていたんです。しかしあまり相手にされませんでした。それまでは借金1億円を繰り上げ返済していって7000万、6000万、5000万そして残り3000万まで減らした時にたまたま仕事で東京国税庁に寄る機会がありました。そこで直接嘆願書を提出して金利を下げてもらおうと考えたのです。
私は現地の本社に訪問しましたが、社長本人に会うことすらままならず、セキリュティガードの2人に止められました。当然と言えば当然かもしれませんが、当時は不良債権問題やバブル崩壊で殺伐とした世の中だったので警備が必要だったのでしょう。だけど私もそこで折れるはずもなく、30分ほどその2人に自分が何のためにここまで足を運んだのかを熱弁したわけですよ。熱意が伝わったのか最終的に社長室に通されたのですが、「森社長、今日本全国で何件の不良債権があるか知っていますか?」と問われて私は「知りません」と答えました。そうすると40万件あると言われました。そんな事実を知らされたとしても私は金利を下げて欲しいという嘆願書を渡しに来たのですから有無を言わさず受け取ってもらいました。
インタビュアー:40万件も不良債権があるとはすごい件数ですね。嘆願書を受け取ってもらってすぐに金利を下げてもらえたんですか?
森社長:1カ月程経った頃に銀行の社長から、「森社長、森社長の口座に100万円入金してください」と通知があって私は直ちに入金しました。すると直後に「森社長の金利は3%に下げます」と通知が来たわけです。それに付け加えて「今回の件は他言無用でお願いします」ときました。おそらく後にも先にも金利を下げて欲しいと嘆願書を提出した人間は私以外いなかったと思います。(笑)
金利が下がった後はいままで金利代として返済していた分のお金も事業に投じたりすることが可能になったので、返済速度が加速するという良いスパイラルに入りました。こうして10年程で借金を完全返済して「生きる」ことができました。