歩合制撤廃編

社長インタビュー
弊社社長 森 賢一 の不動産業界での軌跡を伺いました。
第五部は歩合制撤廃編を書いていきます。

インタビュアー:不動産業界は歩合制のイメージが強いですが、廃止したのは何か特別な想いがあったからでしょうか?

森社長:そうですね。私はバブル全盛期の大手不動産会社で歩合制の基で稼ぎに稼いだから歩合制の強さを知っています。その後は知っての通りバブル崩壊があり、絶頂とどん底の両方を経験しました。やっぱりそういう激しい波の中での生活はよく言えば刺激的ではありますが、安定という言葉とは程遠いです。そして歩合制は社員同士の競争、パフォーマンス向上に役立つかもしれませんが、避けては通れない問題も発生します。

インタビュアー:避けては通れない問題とはいったい何なのでしょうか?

森社長:仕事の奪い合いですね。貢献度が給料に関わってくる訳ですから、社員が我先にと仕事を取り合うわけです。例えば、お客さんから電話がかかってきて受話器を誰よりも早く取るのですが、プープ―と音が鳴るだけで電話が取れない。よく見るとフック(電話の受話器を置く部分にある突起)の部分にセロテープが貼ってあり通話できない状態になっていたことがあります。どうやら私が通話できないように事前に他の社員が貼っていたみたいです。

インタビュアー:なんだか嫌なやり方ですね。社内にいる全員が敵であるような雰囲気ですね。

森社長:お互い遊びながら邪魔しているような雰囲気だったので、本当に会社内が険悪になるほどではなかったです。とはいえ社員が常に競い合う環境になるので落ち着いて仕事をすることはできませんでした。そして社員の特性も様々で社員全員が営業に向いているかと言われるとそうでもありません。例えば小林さん(インタビュアー)みたいに営業が不得意で事務作業が得意という社員もいるわけです。

インタビュアー:確かに自分がお客さんに営業をかけている姿が想像できないです。歩合制撤廃となると稼いでいる社員からの反発が大きかったのではないでしょうか?

森社長:もちろんありました。札幌オーナーズでも猛反発している社員がいましたが、最終的に帳尻を合わせるということで半ば強引に納得してもらいました。札幌オーナーズで歩合制を廃止した後に、私が働いていた大手不動産会社も歩合制を撤廃した時に200人ほどが辞めたみたいですね。

インタビュアー:稼いでいる社員からしたら不公平に感じてしまいますね。

森社長:稼いでいる社員の給料を社員全員の固定給にすることができればいいのですが、実際は不可能です。私は売上を上げるために家族との時間まで犠牲にする必要は無いと思っています。私は家族が好きで、子供が好きです。そして子供の成長は一瞬です。例えば会社の会議があるからといって子供の行事に参加しないなんてことがあると思いますがそれは最悪です。子供の行事はその1回しかありませんが、会議は何度だって行われます。その何度も行われる会議のために一生に一度しかない子供の成長を見られる機会、運動会や学芸会に参加しないことは私には理解が出来ません。そういった家族との時間を大切にできるように後押しできる会社が良い会社だと私は信じています。そういった想いから歩合制を撤廃して固定給を取り入れる事にしました。

8月号へ続く