北海道の屋根の種類
かわら版の読者の方で道外に在住している方も多いため、今回は北海道の屋根事情を紹介します。北海道では瓦屋根をほとんど見かけません。開拓時代、瓦の入手が難しかったこと、昔の瓦は今の瓦と違い重く降雪がある北海道には適さないことからトタンなどが主流となったそうです。
北海道の木造住宅では金属を使用した屋根が採用されており、傾斜が片方のみに流れている片屋根、三角型で両サイドに傾斜がある切妻屋根といった雪を屋根から落とすことが前提となっている屋根が主流となりました。しかし、雪を落雪させるための敷地が必要であること、雪が自然と落雪しない場合に雪下ろしをしなくてはならないことなどの欠点がありました。
住宅が密集する札幌市内では、半世紀近く前から木造アパートは冬場の雪下ろし作業の軽減ができる無落雪屋根や陸屋根が主流となっています。無落雪屋根とは文字通り雪を屋根から落とさずに処理ができる屋根であり、傾斜を緩くして雪を積もらせた状態で太陽光や建物内の熱により雪を自然に溶かして排水します。
ドレン(排水溝)点検の重要性
木造の無落雪屋根は傾斜屋根と違い屋上清掃といった定期的なメンテナンスを怠ると、雪を排出するドレン(排水溝)等が詰まってしまい屋上に水たまりや雨漏りが発生するといった短所があるため、定期的な点検が望ましいです。また、鉄骨造や鉄筋コンクリートの屋上も同様です。
- 排水溝が詰まる
下の写真は筆者が今年のドレン点検に同行した際に撮影したものです。排水溝が完全に塞がれている状態ではありませんが、排水溝周りが土や植物に覆われており、放置しておくと完全に塞がれてしまい水が抜けない状態になってしまいます。建物の場所などによっては、半年程度であっても落ち葉などが堆積し詰まる物件もあります。

- 建材が破損する
雑草の根が伸びようとする力は強く、建材を圧迫したり防水層を突き破ったりするとこともあります。それにより発生した亀裂から雨水が入り込み、雨漏りを引き起こすこともあります。
- 害虫が発生する
屋根の上の高いところであっても虫は水が溜まっている場所を好んで繁殖します。前述したように排水溝詰まりによる水たまりの発生、雑草などの害虫にとっての隠れ家が発生してしまうと、屋上で害虫が繁殖して建物の中に侵入してしまう事も考えられます。
木造のアパートはドレンが詰まると水が溜まり、すぐに室内に漏れてきます。鉄骨造や鉄筋コンクリート造は一定程度溜まったとしても漏れる事はありませんが、プール状態になってしまうと1トンを超える重さの水が溜まっていることになります。それだけの重量がのしかかるだけでも建物に負荷がかかってしまいますが、この状態を放置して冬期間に凍結させた場合は、建物への被害はさらにおおきくなります。
また、ドレンを清掃して水を抜く際はお風呂の栓を抜いた際の数倍の勢いで排水されていきます。そのため勢いが強すぎると雨水桝がオーバーフローを引き起こして、1階の排水から逆流します。ゆっくり抜くことが必要なため完全に排水するまで1時間以上もかかる場合があります。また、知識の無い人が対応するといらぬ被害が出ますのでプロにお願いするのをお勧めします。
屋上防水の費用、改修間隔
ここまでドレン点検の重要性を説明してきましたが、他にも重要となってくるのが屋上メンテナンスです。雨漏りをしてから手配となると、資金繰りもありますし、入居者の方に迷惑をかけてしまいます。また、冬季に発生した場合は雪下ろしなどの無用な費用も発生しますので計画性を持って修繕をお考えいただければと思います。
木造は概ねトタンやガルバリウム鋼板などの金属です。木造の耐用年数を考えると15年に1度塗装を行い30年目には葺き替えすることをお勧めします。築年数が45年を経過した頃には2回目塗装の時期になりますが、建て替えも検討する時期にもなりますのでその時の建物状況により検討をするのが良いでしょう。
鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物は屋上防水が施されています。シート防水やウレタンなどの防水は比較的安価とされていますが、北海道の降雪の関係で一般的に耐久性が一番高いとされているアスファルト防水工法で行われています。
アスファルト防水はシート防水やウレタン防水よりも費用が高くなりますが耐久年数は15~30年と比較的長いのも特徴です。とはいえ、アスファルト防水も経年劣化はするため左の写真のようにシルバー塗装を防水後15年程度を目処に行う事をお勧めします。
建物のライフサイクルを考慮しても最低でも構造に関わらず2回から4回の屋根改修をすることが必要になります。しかし前述した寿命などは参考程度であり、ドレン点検を怠ったことによる劣化の加速や、雨、風、熱、紫外線による多角的な原因によるひび割れ、欠損、防水層のふくれ等劣化事例を挙げると際限がないため定期的な検査は欠かせません。
また、最近は屋上防水の資材も高騰しているため後に回せば回すほど費用は高くなりそうです。メンテナンスやお見積りなどご要望がある際は札幌オーナーズにご一報ください。