北海道の暑い夏、どう対処する?

地域

 今年も全国的に厳しい暑さとなっていますが、中でも北海道や東北の気温上昇が目立っています。今年は大陸の非常に暑い空気が流れ込むことに加えて、北海道東部ではフェーン現象(湿った空気が山を越えて吹き降りる際に、気温上昇する現象)の効果が大きくなるため40度に迫る猛暑となっています。日によっては本州よりも気温が高い日が続いていますが、北海道の家には暖房器具がほぼ100%付いているのに対し、エアコンが設置されていない家が数多く、実際どのぐらいの普及率かご存じでしょうか。

ウェザーニュースの調べによるとエアコン(クーラー)の所有率は全国平均が94.4%で、ほとんどの都道府県で9割を超える一方、北海道の所有率は6割弱だそうです。2021年に実施したアンケートでは北海道のエアコン保有率は42%で半数以上が持っていなかったことを考えると、ここ2~3年で保有率が18%程度増えたことになります。

 それもそのはず、札幌の7月下旬の最高気温は26~27℃。エアコンが無くても過ごせる気温ですが、近年は熱帯夜や猛暑日が増加しています。今年も7月下旬は30℃を超える日が続き35℃に達する日も多くなり、暑さ対策が急務となっています。

賃貸住宅 古い・家賃が安いほど付いていない

 先ほどクーラーの保有率が6割弱とお伝えしましたが、これは持ち家、賃貸問わない保有率で、賃貸アパートマンションとなると事情が異なります。

 賃貸ポータルサイトのスーモで調べたところ、札幌市内の賃貸募集に出ている賃貸アパートマンションの総数は22.6万戸のうち、その内エアコンが設置されている物件は46%で先ほどの6割弱の保有率と大きく差があります。また、賃料が4万円以下の物件は4.7万戸でエアコンが付いている物件はわずか12%しかありません。

賃貸アパ―トマンションにエアコンが付いていない主な理由

理由①一昔前はエアコンが無くても、そこまで暑くなかったため設置されていない
理由②概ね15年以上前の物件はエアコンを設置する考えで建物が建築されておらず、エアコン用のコンセントや室外機用の穴が空いていない
理由③②の理由によりエアコン用のコンセントをブレーカーから配線しなくてはならず、外壁に穴を開けなければいけないので取り付け工賃が高い
理由④オーナーで1部屋付けると他入居者から自分の部屋も付けてくれという事になり、全戸取り付けすると数十万円から数百万円という費用になるため、オーナーが設置を控える傾向にある

 札幌オーナーズではオーナー様に随時ご提案をして設置する物件も増えていますが、まだエアコンが付いてない物件があるのが実情です。

北海道のエアコン取り付け業者事情

 今まで、エアコンの普及率が都府県より低い事から、道内ではエアコン取り付けを生業にする業者はほとんどいません。電気業者か設備業者がエアコン取付工事を行っており、昨今のエアコン取り付け需要に業者が追い付いていません。夏場になると設備業者が不足し、通常の工事についても遅延が発生している状況となっています。

 最近は普通のエアコンを取り付けるのではなく入居者様がウインドエアコンを自身で取り付ける事も増えています。家電量販店やホームセンターで販売されており、費用も3~5万円で購入できて、取り付け、取り外しも容易のため売れ行きも好調の様です。ただし、通常のエアコンに比べ冷却能力は低く、電気料金も高めになりますし、冬場は外したりしなければいけないのが難点です。

 そうなると費用面や使い勝手を考えれば、ウインドエアコンではなく普通のエアコンの方が入居者としては望ましい訳です。

オーナーがエアコンを付ける場合

 入居者様自身でエアコンを付けるとなると、自己負担で本体、工賃、原状回復が必要になるため、取り付けるハードルが高く、あきらめてしまう方がほとんどです。そのことから、オーナー側で取り付ける方が現実的です。エアコン需要が高まっていることから募集する部屋に取り付けると通常よりも短期間にお部屋が決まるのが大きなメリットです。

また、空室のみ付けた時に問題となるのは既存の入居者様へどう対応するかです。空室は募集のために付けたが、既存の部屋は付けないとなると不平不満が出るのは必至です。そこで、入居者様の同意が予め必要ですが、賃料の値上げを条件に、エアコンを取り付けするオーナー様も増えています。入居者様は賃料が上がってしまいますが、お部屋の満足度が高まるため退去防止効果が得られます。オーナーとしても、賃料が上がりますので収益性が上がり、エアコンを取り付けた費用は減価償却で数年にわたり経費計上をできるメリットがあります。

まとめ

本当にここ数年の札幌は耐えられないような暑さの日が増えてきました。暑いからエアコンを付けようとしても、北海道ならではの事情で設置まで時間がかかる事も考慮する必要があります。もし、オーナー様にてエアコン設置を検討される場合は暑いピークの期間だと業者が対応できない場合が多いため、4~6月、10~11月の工事をお勧めします。