2026年、本年もよろしくお願い申し上げます。今年で筆者である私は札幌オーナーズに入社してから19年、思い返せば賃貸管理の現場も大きく変わったと実感しています。
かつて、アパートやマンションは「入居者さん」と「近所の大家さん」が顔を合わせ、雪かきを共にし、信頼関係を築くという曖昧でありながら温かみのある時代でした。しかし今、不動産経営は外資系の流入や投資家オーナーが多く参入し、入居者と大家(オーナー)の直接的な接点は無くなりつつあります。今回は、オーナー様の代理として管理会社は何ができるのか、どう変化したのかを特集していきたいと思います。
「管理」がサービス業へ進化した20年前
2000年代半ば、札幌の賃貸経営はまだ「地主型」が多く見受けられました。大家が自ら物件を巡回し、入居者と世間話をする。管理会社はあくまで「集金代行」や「退去精算」の補助役にすぎませんでした。入居募集と言えば雑誌や店頭での張り紙が中心で、ネットは普及し始めていましたが、お客さんが仲介店舗に足を運んで物件を決めるのが当たり前の時代です。
また、当時はバブル期以降の賃貸アパートマンションの大量供給により「空室率の高さ」が慢性的な課題でした。管理会社は入居を決めてもらうために仲介業者へ物件資料を持参して営業をする「足で稼ぐ」スタイルが主流で、良くも悪くもアナログな手法が残っている時代でした。
外資の参入と「投資物件」への変貌
変化の大きな契機は、ニセコエリアの世界的ブレイクと、札幌市内での再開発ラッシュです。2010年以降、北海道の不動産は割安な「世界が注視する投資対象」へと変貌を遂げました。特に地下鉄沿線の再評価が進み、古い木造アパートが次々とRC(鉄筋コンクリート)造のマンションへと建て替えられました。
さらに道外の投資家やサラリーマン家主、海外のファンドなどの参入により、管理に求められる基準は一気に跳ね上がりました。管理会社は単なる物件の維持だけではなく、収益を最大化するための「アセットマネジメント(資産管理)」の能力も問われ、かつての「どんぶり勘定」は通用しなくなり、賃貸管理は専門的な金融サービスの一環へと変貌を遂げました。
2020年ごろからデジタル化と効率化が進む
不動産の管理会社は地場産業であるため、いまだに中小企業がほとんどです。そのため、不動産仲介と比べると不動産管理はシステム化が遅かった業種でした。しかし、コロナ禍や人手不足、さらに管理業が免許制になったこともあり、2020年頃からシステム化が一気に進みました。比較的安価、簡単にシステムが構築できるDX(デジタルトランスフォーメーション)も後押しとなりました。
空室の広告方法に変化
従来、管理会社と仲介業者はFAXで賃貸物件情報のやり取りをしていましたが、現在は、賃貸仲介業者向けのネット掲載が主流になりました。仲介営業はシステム上で空室を検索して案内することが当たり前になり、営業担当者は商圏の物件がわからなくても部屋の紹介が簡単にできるようになりました。
現在は物件をデータで簡単に比較できることから、募集条件が競合より劣る場合(家賃が相場よりも高い、人気の設備が無いなど)は、内見案内される事も少なくなりました。また、成約時に〇〇プレゼントや賃料〇ヶ月無料など、独自のキャンペーンもネット上の決められたフォーマットのデータに記載するため視認性が下がり効果が薄くなっています。
現在の空室対策は仲介業者にPRをする事よりも、募集する空室が他の物件より写真映えする内装であること、賃料が相場以上ではないこと、人気の設備が付いているなどのお部屋の商品化が重要になっています。
管理会社は人でをかけない方向へ
不動産管理会社は慢性的な人手不足になりがちです。そのため、入居者様からの入電をコールセンターに委託をしたり、ホームページやLINEからの問合せに誘導するなど、社員の仕事軽減化が進んでいます。さらに仕事を完全分業制にする管理会社も増えています。メリットは、専門的に1つの仕事に特化する事ができ業務効率につながることです。
しかし、完全分業化をすると専門性が高い社員はいるものの、業務全体をわかる社員が育たないという状況が発生します。今後、不動産管理会社は業務全体を指示できるリーダーを育てることが重点的課題と言えます。
これからの不動産管理は
20年前は電話一本でお客様に駆けつけるのが美徳とされましたが、今はデータに基づいて「いつ、どこに、誰を派遣するのが効率的か」をAIなどと組み合わせて判断する時代になりつつあります。一見、冷たい対応にも思えますが、むやみに人のリソースを使い、結果、お客様の対応できないことの方が問題です。
また、これからの20年で不動産管理会社はさらなる二極化が進みそうです。1つは最新のAIなどを駆使し、コストパフォーマンスを徹底追及する「システム型管理」、もう一つは、その管理会社でしかできないサービスを提供する「付加価値型管理」です。
他の業界でも同様ですが、小さい企業はこの流れについていけず廃業や統合を余儀なくされていくでしょう。
かつての「人情味あふれる大家さん」の精神を、いかにしてデジタルの仕組みの中に残せるか、広大な大地と厳しい気候をもつ北海道だからこそ、その「温もりのDX」こそが次の20年のカギとなるでしょう。


